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イメージ  ― あきない遠眼鏡(とおめがね)―

4-1 東芝の悲劇

 電機業界では、シャープに続いて東芝がとんでもないことになっている。決算ができず何回か先延ばしをしたのち、4月11日に監査人の証明がないまま第3四半期(4〜12月)決算で5千億円を超える赤字決算を報告した。債務超過状態におちいり上場廃止の危機にあるとすら言われている。
 私の尊敬する社労士の先輩Hさんは、父君が戦前、満州の東芝の機械部門の技術者で、敗戦を機に日本人が一目散に逃げる中で、技術者であるがゆえに、現地に留め置かれることとなり、そのためHさんは「敵国」で幼少期を送るという数奇な運命をたどった。中国にとっても大切な技術者であった父君のおかげで、いじめられることはなかったが戦後の満州での民族的価値観の逆転を目の当たりに見たという。
 また私の高校の同級のK氏は、父も兄も東芝のエリート技術者で、本人は東芝に入れなかったことを悔しがっていた。それでも機械屋人生を全うし、今でも趣味で機械工作を楽しんでいる。東芝の19万人の従業員のみならず、HさんやK氏のような人たちも今回の東芝の悲劇をどんな思いで受け止めているのだろうか。TVで放映された株主総会(集会?)での一般株主の怒声の中に、その一端を見たような気がする。
 赤字の業績を、権威のみで「明日までになんとかしろ!」と迫るような社長が何代も続けばどんな会社もおかしくなるし、粉飾もはびこる。「むべなるかな」である。
 昭和46年の秋、まだ学生籍のあった私は、当時埼玉県川口市のはずれにあった「東芝レコード」で一般アルバイトとして2ケ月ほど働いたことがある。レコードとその他のプラスチック部品などを生産していた工場だが、「電気の東芝」、「機械の東芝」の中ではレコード工場などいかにもマイナーな存在だった。それでも22歳の私にとっては見るもの聞くもの「大工場」で、朝8時に入門したら昼休みでも抜け出せないその「大きさ」に恐れをなした記憶がある。たった2ケ月の体験ではあったが、東芝の没落は人よりは少し感慨がある。当時の東芝のレコードの看板は渚ゆう子の「京都の恋」「京都慕情」であり、世間では小柳ルミ子の「私の城下町」が毎日聞こえていた。

特定社会保険労務士・行政書士 新山晴美

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