2016年5月第116号|1|コラム「為政者のモラル」|

 タックスヘイブンという言葉が連日のように新聞やニュースで取り上げられている。この租税回避地と訳されるタックスヘイブンだが中でも有名なのが中米のキューバの南西に位置するケイマン諸島である。実はこのケイマン諸島がタックスヘイブンとして利用されるようになってすでに半世紀近くが経つのだ。今回のパナマ文書流出によって一気にその存在が知れ渡ったものの、それまでは一部の資産家や企業にのみ利用されるに過ぎない存在だったであろう。かえって問題なのは租税回避といってもこれらが合法であるということ。各国の個人・法人が競って合法的に税金を減らしていることによって、その本国では一般国民に対し増税を強いることとなるという仕組みが繰り返されてきたわけである。事の深刻さを浮き彫りにしたのは、先進国の首脳やその親族がタックスヘイブンを利用し、租税回避や資産隠しを行っていたことだ。合法だからと言って国民の義務である納税を呼びかけるはずの為政者がその義務を回避し利己的な行動を取るのであれば国家そのものの根幹が崩れてしまうことを考えなければならない。

税経センターグループ 代表 栗山隆史

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