2017年8月第131号|4-1|あきない遠眼鏡(とおめがね)~平戸離れて幾百里|

家内が長崎県平戸市に住む友人に、32年ぶりに会いに行くというので、お供をすることにした。訪れた平戸では、素晴らしい海や山の風景に接するとともに山海の珍味も賞味することができた。しかし、何より刺激的だったのは平戸の歴史や文化が有するアジアからの影響に触れることができたこと。
平戸は、16世紀の後半から17世紀の前半、江戸幕府の鎖国政策が始まるまで、日本が西洋文明や他のアジア諸国に扉を開いた港町だ。
平戸では数々の史跡をめぐることができたが、最も私の関心を惹いたのは、「鄭成功(ていせいこう)」の記念館だった。
鄭成功は、中国=明の貿易商:鄭芝竜(ていしりゅう)と日本人妻:マツとの間に生まれ、7歳まで平戸で育った。その後中国本土に渡り、「復明抗清(清に抗して明を復興する)」の闘いに身を投じた。その後大陸を追われるが、オランダが統治する台湾を奪取して、台湾の祖とも言われた男だ。
役所のOBらしき案内人の言によれば、2013年に建てられた記念館だという。(えっ、そんなに新しいの?)平戸市が、日本、台湾、中国に縁の深い鄭成功を顕彰して、アジアの交流の先鞭をつけるのだという。その志や良し、である。
時流を考えれば、中国が南シナ海を我が物顔におさえ、台湾や香港に「一つの中国」を強硬に押し付けている情勢である。国と国の関係は険しさの一途をたどっているが、そんなことは関係ない。民間は民間の交流を築いていこうという平戸の決断に拍手を送りたい。
たぶんアジアはひとつになれるだろう。時間はかかっても。実りの多い平戸訪問だった。

税経センターグループ 顧問 新山 晴美

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