2020年8月第167号
事務所便りあさひ2020年8月第167号の記事を更新致しました。
ー 1|ヒーロー|

5月にイギリスのサウサンプトン総合病院に寄贈された覆面芸術家バンクシーの一枚の絵が世界的なニュースとなった。1メートル四方のキャンバスにはオーバーオールを着た男の子が描かれ、その子の手に握られているのはバットマンやスパイダーマンではなくマントをつけた看護師の人形であった。あたかもその少年にとっては最もクールなヒーローであるかと言うように。新型コロナが蔓延する中、世界中の医療従事者が自らの身の危険も顧みずみんなのために戦う姿は正真正銘のヒーローに違いない。ただ私たちが医療従事者の献身に感謝するだけで、彼らの犠牲に頼ってしまう状態を見過ごせば医療崩壊を招くことは避けられないだろう。このヒーローたちにも守るべき家族や生活があるのだ。日本政府はGOTOトラベルという名の感染拡大キャンペーンとも揶揄される政策を実行することとした。コロナ危機によってどこの病院も経営が逼迫し倒産寸前だという報道もある。これを思えば1.7兆円の行き先がどこであるべきかは考えるまでもない。

ー 2|民法(債権法)が4月1日から変わりました③|

4月1日に施行されました改正民法の内容についてご説明します。第3回です。

【保証】
債務者が債権者に対して債務の弁済ができない場合に、債務者に代わって債権者に弁済の責任を負うことを保証といいます。この場合の債務者を「主たる債務者」、主たる債務者に代わって債権者に対して弁済の責任を負う者を「保証人」といいます。今回の民法改正では、事業のために負担する債務を個人が保証しようとする場合のルールが規定されました。(保証人が法人の場合は適用がありません。)

①公正証書の作成
事業のために負担する債務の保証契約を締結するに際しては、その保証契約締結の日前1か月以内に、保証人となろうとする者が公正証書を作成することにより保証債務を履行する意思を表示しなければ保証契約の効力が生じないこととなりました。
なお、保証契約は書面又は電磁的記録でしなければ効力が生じませんが、保証債務を履行する意思を表示した公正証書の作成をもってこれに代えることはできませんので、保証契約書又は保証契約に関する電磁的記録は別に作成する必要があります。
また、主たる債務者が法人である場合で、保証人となろうとする者が当該会社の取締役等一定の関係を有する者であるときは、この公正証書を作成する必要はありません。

②主たる債務者による情報提供義務
事業のために負担する債務の保証を委託するときは、主たる債務者は保証の委託を受ける者に対し、以下の情報を提供しなければなりません。
(1)財産及び収支の状況
(2)主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
(3)主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容

※保証契約締結後の保証人を保護する規定
保証人が保証契約締結後に主たる債務に関する情報を得る方法が規定されました。
①主たる債務者の委託を受けた保証人は債権者に対して、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報の提供を求めることができ、債権者はこれらの情報を保証人に対して遅滞なく提供しなければなりません。
②期限の利益を有する主たる債務者が履行遅滞等により期限の利益を喪失したときは、債権者は保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2か月以内に、その旨を通知しなければなりません。その期間内に通知をしなかった場合、債権者は保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失してから現に当該通知をするまでに生じた遅延損害金に係る保証債務の履行を請求することができなくなります。

ー 3|ホントはしたくないんだけど…減給を行う際の注意点は…?|

人事労務管理で話題になるポイントを、顧問先の社長と社労士との会話形式で、お伝えします。

社 長 : このあいだ、従業員が会社のパソコンを電車の中に置き忘れ、紛失してしまったんです。個人情報などは入っていなかったため、事なきを得ましたが、この従業員、実はこれで3度目なんです。さすがに今回ばかりは会社として就業規則に従い、懲戒として減給の処分にすることを考えているのですが。

社労士 : 個人情報の流出がなかったことは不幸中の幸いでしたね。減給の処分については、過去に同様の事案があった際の取扱い等とも比較して、相当か、不平等はないかなどを確認したほうがいいです。

社 長 : なるほど、了解しました。過去の事例も確認してみます。その際に、実際、減給額の計算をしてみたところ、平均賃金の日額が8,000円でしたので、減給できる額は半額の4,000円になると考えていますが、あっていますか?

社労士 : はい、そうですね。労働基準法では、1回の額が平均賃金の1日分の半額、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えることができないと規定されています。今回のケースでは4,000円で問題ありませんね。

社 長 : それと、ニュースで、3ヶ月に亘って賃金10%をカットといった話を耳にしたことがあります。今回のケースでも、3ヶ月にわたって毎月4,000円を減給していこうと思っていますが、いいのでしょうか?

社労士 : 実は…他社でも同様の取扱いをしたいとよく耳にします。ですが、その対応には問題があります。この複数ヶ月にわたって減給することについては、役員や公務員についての対応であり、このような取扱いができるのは労働基準法の適用を受けないからです。労働基準法では、あくまでも1回の案件について、平均賃金の1日分の半額までとなっているため、複数ヶ月に亘って減給することは違法となるんです。

社 長 : えっ、そうなんですか。てっきりニュースと同じようにできるものだと思い込んでいました。労働基準法ではダメということは適用する法律が異なるのですね。それと、あとひとつ教えてください。今回は来月の給与で減給を行う予定ですが、賞与を支払うときに行うこともできるのでしょうか?

社労士 : 賞与も賃金ですので、賞与で減給を行うことも可能です。その際、注意点が2点あります。まず減給を賞与で行うことが、就業規則に明記されていることが必要です。そして、減給の範囲についても1回の額が平均賃金の1日分の半額、賞与総額の10分の1を超えることができないことになっています。 ちなみに賞与が業績や評価によって増減することがあるのであれば、この処分とは別にお考え下さい。

社 長 : わかりました。賞与で行う際にも注意が必要なのですね。ありがとうございました。これを機に、会社のパソコンの紛失防止など、備品の管理方法もあらためて会社内で検討します。本音は減給なんてしたくないですから。

ー 4|あきない遠眼鏡(とおめがね)|

「ルールを守らない児は入れてあげないよ。」 
「君、この間遊んだとき約束破ったよね。」 
「約束は、今日、決めたんじゃん。」

「最高裁もたまにはいいこと言うね。」「いや、政権の先が見えてきたから言いやすくなったんじゃないの。」「黒川問題で司法が舐められたからだよ。」
6月30日のふるさと納税をめぐる最高裁判断である。
2008年に創設された「ふるさと納税制度」は、本来の「故郷」の趣旨を離れて「あれがほしい」、「こっちがお得よ。」の制度になっていた。私はそこが気にいらなかった。「地方」には体力差がある。東京などには較べるべくもない。その意味で、コロナに対処する財政の話をするときに、千葉のトップの栄治君が「だってぼくんちお金ないもん。」と泣きを入れたときは、ちょっぴり同情した。しかし栄治君のうちは全国で4番目か5番目のお金のある県である。
本来、地方間の格差はいったん国が集めた税金を地方に再分配する地方交付税をもって対処すべきである。それをケチって、ふるさと納税制度というやり方を編み出したのが総務省のエリート役人。制度は独り歩きし、故郷に対する思いと関係ない商品市場になっていった。この制度を何のてらいもなく使った一番手が泉佐野市というわけ。お金を出し渋るこざかしさと、恥も外聞もなく踊らされた地方のどちらがどうなのだろう。(最高裁も「眉をひそめざるをえない泉佐野市」を勝たせるのに、いささか居心地の悪さを感じると言い訳している。)
さて最高裁が判示したのは、6月からの新制度の参加資格を、前年以前のふるまいをもって告示で除外したこと。総務省が決める告示をもって法律施行前の自治体の行為を云々するのは「違うんじゃない。」ということだ。
霞が関に逆らう市役所ふぜいが、ゆるせなかったんでしょうね。

ー 5|帝国データバンク景気動向調査報告|8月の税務労務|

ー 6|マイナポイントとは?|

消費税の増税に伴って2019年10月から始まったキャッシュレス・消費者還元事業は、2020年6月末をもって終了しました。対象の店舗で買い物をすると、購入価格の2%又は5%がポイント還元やキャッシュバックされるというもので、現金支払いだったものをカードや電子通貨に変更された方も多かったのではないでしょうか。

今回この事業が終了することにより、物品等の購入時での消費者の負担感が増すことになりますが、「マイナポイント事業」がスタートします。

「マイナポイント事業」とは、キャッシュレス決済の推進や消費の活性化、マイナンバーカードの普及を目的とするもので、対象となるキャッシュレス決済サービスでの物品等の購入を通じてマイナポイントが付与されるというものです。(2020年9月~2021年3月末までの取引が対象となります。また、物品等の購入額の25%が付与され、付与の上限額は5,000円です。)付与されたマイナポイントの使用方法は、決済サービスによって異なりますが、そのまま決済に利用できるものやユーザーの専用ホームページ等で別のポイントに交換できるもの等があります。

<手続き方法>
① マイナンバーカードを取得(お住いの市役所での手続きが必要となります)
② マイナポイントの予約(どのキャッシュレス決済サービスを使用するか選択することになります)
③ 選択したキャッシュレス決済サービスを使用して、期間内に物品等の購入

まだマイナンバーカードをお持ちでない方は多いかと思います。私自身もまだ取得していないため、これから手続きをすることになるのですが、マイナンバーカードを使用するという点を気にされる方もいらっしゃるかと思います。利便性と比較しての判断…、ということになるかと思います。