2019年5月第152号|4-1|あきない遠眼鏡(とおめがね)~行政を甘く見るなよ|

野田市に本拠を置く関東西武運輸が4月22日をもって運送業の許可を取り消される事態になった。同社は関越地区に本社営業所を含む8つの営業所、車両数400台を有する企業である。(広島県福山市に本拠を置く西武運輸グループに属している。)

いきなりのことではない。2017年11月に、違法残業が改善せず柏労基署に書類送検され、翌2018年の7月に本社営業所の30日間の事業停止と50日間の車両使用停止処分を受け、さらにその年の12月には全事業所の3日間の事業停止処分を受けていた。

その上で行われた2019年1月の監査でも「改善が認められなかった」として全8営業所での許可取り消しに至ったものだ。

これに対して、関東以外のグループ企業による関東での許可申請をしたりして抵抗を試みるようだが、さんざん行政指導を無視されてきた(許可権限を持つ)関東運輸局がそれに応じるものだろうか?

実業界全体が国の強権で「働き方改革」を求められ、情勢は「不良事業者は淘汰されても構わない」といった様相を呈し、一方、国が運送業界を後押しして荷主である産業界に働きかけているこの情勢を、当事者は見誤ってはいないだろうかという気がしてならない。

運送業界はたしかに深刻な問題をかかえてはいるし、その構造的な原因が国の規制緩和にあったことは事実だ。しかし国が規制緩和の撤回こそしないものの、事実上修正の方向に舵を切ろうとしているときに、国の横っ面をはたくようなやり方はうまくいくとは思えない。

多くの運送業者にとって今回の処分は、黒船の冷水をあびせられたような気分だろう。会社の収益構造を変えていくのはたいへんだろうが、運送業の「働き方改革」の期限は5年後。生き残るための知恵と努力が求められている。

税経センターグループ 顧問 新山 晴美

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