2018年10月第145号|1|「流れる水は濁らず」|

「Rolling stone」

英語にA rolling stone gathers no moss ということわざがある。直訳すれば「転がる石に苔はむさない。」となり、英国では苔がむすのを良いことと考え、コロコロ変わることは良くないことだとするのに対し、米国では苔を良いものだと考えず、変化してゆくことを良いこと、別のことわざ「流れる水は濁らず」と同じ意味のものになるようだ。ことに権力について言えば流れが止まった水は濁りやすいようで、最近のメディア報道でも長期にわたり権力を保持するとロクなことがないことを示すニュースが多い。それに反し中国では国家主席の2期10年までとする任期を規制撤廃により無期限で権力を維持できることとしてしまったのだ。権力の集中を危ぶむこの事実は全世界に衝撃を与えた。一方国内に目を移すと自民党の総裁選により安倍晋三の3選が確定したばかり。従前自民党総裁の任期は2期6年だったが昨年3期9年に変更され、無期限ではないにしてもわが国でも権力の長期化が可能となった。先人が残してくれたことわざを知らないわけでもないだろうが、転がらない石につくコケが、「苔」でなく「虚仮」という文字に当てはまってしまうのではないか心配である。

税経センターグループ 代表 栗山隆史

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