2019年2月第149号|4-1|あきない遠眼鏡(とおめがね)~薄日がさす?トラック業界|

かなりの長期にわたってトラック業界は苦難の日々にありました。
構造的な問題は、規制緩和で新規業者がどっとこの業界に流れ込み、過当競争で荷主との関係でバランスが取れなくなったところにありました。
かなり無理な荷主の注文や、待たされっぱなしの荷積みがあっても「いやならほか(の業者)頼むから」という一言で泣かされ続けてきたわけです。
昨今の重大事故や過重労働防止の観点から監督官庁の国土交通省も、手を変え品を変え、バランスの回復に心をくだいてきたようですがなかなかうまくいっていませんでした。
そこにひょっこりと「救世主」があらわれたのです。予想もしないところから現れた「救世主」の名前は「人手不足」
車があってもドライバーが足りないという苦境に、おもわず「手が足りないのでお宅の荷物は運べません。」といわざるをえない状況が出現しました。いわれた荷主の側はびっくり。いろいろ注文つけてきたものの、運んでくれないのでは話にならない。かといって安心できる運送やでなければ話にならない。つい「少し価格をあげてもいいからなんとか運んでくれないか?」という10年来久しく耳にしなかった言葉が出てきたというわけです。
ドライバーがいないというピンチが久々の価格交渉に転嫁したというこの現象。トラック業界が変わっていく一つの転機になるかもしれません。
石油の値上がりや業界の特性でもある長時間労働の解決など困難な問題がまだいくつもあったとしても。

税経センターグループ 顧問 新山 晴美

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