2019年7月第154号|4-1|あきない遠眼鏡(とおめがね)~あったこともなかったことにする日本は大丈夫か?|

たとえばモリカケ、たとえば金融審議会の答申。

30年前に天安門事件が起きたとき、私は交通事故の療養中で病院のTVで映像を見ていた。出勤しなくていい、時の流れだったので。

30年間、中国政府は「事件」を人の記憶から消そうとし、人々は「64」という事件を表す符牒で忘れまいとしてきた。

今の中国政府のTVで語られる言葉を瞬時に消す技術や、都市部に張り巡らされた膨大な数の監視カメラからすれば、人々の記憶すらコントロールできそうな気がしなくもない。「それに加えて法など無視する権力の無法にさらされたら?」 いま香港で起きている民衆の「犯人の本国送致」に対する抵抗は、そんな恐れに根差している。現在、香港や台湾にかけられている圧力からすれば、第二の天安門事件すら起きかねないと思ってしまう。

5月の末、高1のときの級友8人で米沢の小野川温泉に泊まった。宴会場から部屋まで、おしゃべりが続いたのは恒例だが、夜の10時を回ったころ、一人が「世の中は滅びるんじゃないか?」と言い出した。一瞬、沈黙がよぎったが、社会のほころび、環境問題、国際貿易摩擦や新たな侵略戦争。技術の進歩によってハッピーハッピーになってもよさそうだが、みんなの心の深層には、そうではない(根拠を説明するのは難しいが)悲観がただよっているのかと、言葉にはださなかったが共感してしまった。

またまた話は変わるが、先日フィリピンへの出張の帰りに入国審査が顔認証だった。パスポートを読み取らせると機械が勝手にこちらの顔を見て本人と判断するらしい。不愛想な入管の職員にジロジロみられるのも感じはよくないが、「ああこれで私の顔は当局に登録され、探そうと思えば全国の防犯カメラと照合されるのだな。」と思った。中国ならば天安門の関係者かどうかチェックされるところだ。

税経センターグループ 顧問 新山 晴美

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