若いころ遊園地のビックリハウスに入って気持ち悪くなって出てきたことがあります。中に入って椅子に座ると暗くなって音がして天井が回り始めて、自分が上を向いているのか下を向いているのか、わからなくなる、あれです。つまり人間は縦、横、上下がはっきりしていないときちんと立てなくなるようなんです。
最近の世相にも似た感じを持って、ときに表現しにくい気持ち悪さを感じます。
「お前、金もろたんやて?」
「もろたん、ちゃうわ。いずれ返すねんけど保管しているだけや」
「なんで返せへんの?」
「置いてくいうからな、いや、返そおもたら『返すとはなんや』て怒るねん。怖っ。」
「怖い言うて、お前社員何万人の社長や?世の中は普通、恐喝する奴が金を持っていくんや。どこの世界に、恐喝する方が金を置いていくねん。」
「そやから預かってるだけやて」
「そんなん通ったら、世の中わいろがもっとはびこるで。泥棒かて見つかったら『取ったんちゃう、借りてきただけや、返すタイミングがくるまで保管しとるだけや。』いいよるわ。」
「………….」
「監査役につっこまれたらしいやないか?」
「そんなんしたら会社潰れるぞ、いうて黙らしたけどな」
「辞任もせえへんのか?『再建するのが私の責任』いうて。柱が腐っとったら再建なんかでけへんぞ。」
「真実をはっきりさせるまでや。」
「これ以上何をはっきりさせんねん?子分がやったなら悪い奴は誰やいうのはわかるけど。お前、親分やんか。それともお前、どこぞに黒幕でもおるんか?」
税経センターグループ 顧問 新山 晴美